食道がん、遺伝子治療スタート
国内初、三重大など臨床研究 


治療が難しいがんの一つ、食道がんの遺伝子治療が三重大病院で始まった。バイオ関連企業「タカラバイオ」(大津市)と共同の臨床研究で、がん患者のリンパ球を取り出し、がん細胞の認識に役立つたんぱく質を作る遺伝子を導入する。8月中旬には、1例目の治療を実施。2013年度の臨床試験(治験)開始を目指している。


研究チームは、正常な細胞にはない「MAGE―A4」というたんぱく質のかけらが、食道がん患者の53%にあることに着目した。


リンパ球の一種のT細胞は、目印となるこのかけらを認識して攻撃する。そこで、がん患者の血液からT細胞を取り出し、かけらを認識する能力を高める遺伝子を導入。このT細胞を増やした後、点滴で患者の体内に戻し、さらに、T細胞を活性化・増殖させるワクチンを2回注射する。


2012年夏頃までに、手術もできず、薬物治療の効果も期待できない患者9人に実施し、安全性や腫瘍(しゅよう)縮小効果を調べる。


米国では、悪性黒色腫や大腸がんで同様の遺伝子治療を利用した臨床研究が行われているが、国内では初めて。
(2010年9月6日  読売新聞)