「がんと遺伝子 110203

地元の国立大学主催のイベントに参加する機会があったので行ってきました。(抽選に当たりました)


担当の先生方、ありがとうございました。
(腫瘍生物学・腫瘍生化学・細胞生物学が専門の医学博士と分子遺伝学が専門の理学博士のお二人の先生)

がんと遺伝子
カフェでドリンク片手に、研究者や専門家と気軽に交流を楽しむライブイベントでです


お話のほんの一部をご紹介。


まず、ガンは遺伝子の病気であるが、遺伝病ではない。(一部の特殊な遺伝性ガンを除いて) 遺伝病というのは生殖遺伝子の変異であり、生殖細胞(精子・卵子)を通じて子孫に遺伝する。私たちが遭遇する多くのガンは、体細胞の遺伝子が変異することによって発生する。


現在主流となっている発ガンのメカニズムは、《原がん遺伝子》と《がん抑制遺伝子》の突然変異である。《原がん遺伝子》は、名前こそ「がん」が付いているが、元来は必要に応じて細胞を増やす遺伝子。正常な細胞分裂や傷口を治すために細胞を増やす際に関与する。原がん遺伝子が突然変異を起こして、際限なく細胞増殖を促進するようになってしまうと「がん遺伝子」と呼ばれるものに変わる。《がん抑制遺伝子》は、細胞が無規律に増殖することを抑制する遺伝子。ガンの増殖のブレーキ役だが、突然変異で機能しなくなればガン化が進む。


では、原がん遺伝子やがん抑制遺伝子に突然変異をもたらすものは何かというと、私たちの日常にある。化学物質、紫外線・放射線、ウイルス、細菌、食事・栄養・喫煙・飲酒・労働環境などの生活習慣、加齢などである。また、体内で発生する活性酸素やフリーラジカルも一因といわれている。


ガン細胞の二大特性は、「無規律的増殖:足場非依存増殖」と「浸潤と転移:細胞間接着低下、運動性亢進、マトリックスの破壊、血行性、リンパ性」である。足場非依存増殖というのは、細胞が隣接していないのに増殖できる能力のことである。一般に、正常細胞にはこのような能力はない。文部科学省のホームページには次のような記載がある。(一部引用)


「繊維芽細胞や上皮細胞などの付着細胞が、細胞外基質(足場)に接着しなくても生存し増殖できるようになることを、足場非依存性増殖能の獲得と呼ぶ。この能力は、がん細胞が持つ一般的な特質として古くから知られ、正常細胞とがん細胞とを区別する指標としても広く用いられてきた。さらにがんの浸潤、転移にも深く関与しており、その分子機構の解明は極めて重要と考えられる。・・・」


この他、遺伝子検査やガン告知の倫理的問題などにも触れていました。参加者がアンケートに答える形式(参加者全員が端末機器のボタンを押す。クイズ番組みたいで面白かった)も採用されていましたが、各問いの回答が二択に限定されていたので、デジタル的な回答に偏っていた感は否めません。


遺伝子の突然変異に関しては後天的な要因が作用するということで、「ガンは生活習慣病である」ことを裏付けました。ただ個人的には、物質的な原因だけでなく、心理的要因が大いに関係すると思っています。その相関を同定することは難しいでしょうが、祈り、感情、心の持ち方と遺伝子の研究に取り組んでいる専門家もいます。


ガンに関与する遺伝子は現在わかっているだけでも100以上、今後研究が進むにつれて更に増えることが予想されています。遺伝子レベルでのアプローチがこれからのガン治療の主流になるのは間違いないでしょう。


人間の多様性という色彩は遺伝子が描いている。ガンもその人体表現の一つなのかもしれません。