プレシジョン・メディシン(精密医療) 2016/11/20

NHKスペシャル「“がん治療革命”が始まった〜プレシジョン・メディシンの衝撃」

 

今月20日(2016年11月)、NHKスペシャル「“がん治療革命”が始まった〜プレシジョン・メディシンの衝撃」

 

反響が大きかったようです。ガンの辞典関連サイトに、昨年5月、プレシジョン・メディシン(精密医療)の記事を掲載していたのを、私自身もすっかり忘れていました。皆さん、検索されたんですね。普段に増して、メール、お電話でお問合せがありました。私のとこでは、治療してないのにね

 

あらためて、番組の感想を記してみます。

 

まず、「プレシジョン・メディシン(精密医療)」とは?

従来は、ガン種別、臓器別の臨床試験で有効性を認められたものが、抗ガン剤として認可されてきました。ところが、ガンの増殖に関与する遺伝子解析技術の進歩によって、遺伝子変異のタイプを見極め、それに対応する分子標的薬を投与することで治療成績が向上することが明らかになってきました。しかも、ガン種、臓器が異なっても同じ遺伝子が変異していれば、同一の薬剤が奏功することがあるのです。例えば、乳ガンに適用が認められていた分子標的薬が、Aという遺伝子変異に対応する薬剤だとします。それが、やはりA遺伝子が変異した子宮のガンにも、使えるということです。遺伝子変異のタイプごとに薬剤を選択し、治療が奏効する確率を高める狙いがあります。すでに実施された治験(肺ガン)では、従来の抗ガン剤の奏効率30%に対し、プレシジョン・メディシンでの治療は70%と報告されています。(SCRUM-Japanプロジェクト)


プレシジョン・メディシンは、今までの抗ガン剤治療から大きくパラダイムシフトしたガンへのアプローチです。それは、前述のように遺伝子解析技術と変異分子をターゲットにした製薬開発の進歩がもたらしたものです。

 

ただ、課題もあります。遺伝子変異を特定するのは簡単ではないこと。ガンの増殖に複数の遺伝子変異が関与する場合、どの変異を治療するのが有効なのか? 変異を特定できても、対応する薬剤があるか? また、現状治験以外で治療を受ける場合、遺伝子検査および薬剤を適応症以外のガンに使用すると、いずれも自費になります。検査費用は40〜100万。番組で紹介された患者さんの場合、毎月の薬剤費が90万でした。

 

アメリカではAI(人工知能)による薬剤選択も試みられているようで、プレシジョン・メディシンはアメリカ、日本では国策として推進されています。


番組を見て気になったことは、コメンテイターが「遺伝子変異を闘うべき敵」と発言していたこと。登場された治療中の患者さんが、再発された際、次の臨床試験に参加し「これがやっつけてくれる」と期待をこめていたこと。

 

ガン化の遺伝子変異は、どうにもならない運命でしかも邪悪なものという捉え方には、違和感を覚えます。だって、一生を共にする自分の体のプログラムですから。

 


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