遺伝子は変わる?
がんは遺伝子の病・・・
果たしてあなたはただ手をこまねいているしかないのか?

すでに当サイトで遺伝子に関する情報に触れた方は、やや失望感を抱かれたかもしれません。

生命の神秘ともいえる遺伝子が異常になって発生する《がん》という病気・・・それは、自分ではどうにもできない宿命的な病気なのではないか? あなたは、そんなふうに感じていますか?

がんは遺伝子が傷つき正常に機能しなくなることが発端です。ほとんどのガンの場合、生まれた後の毎日の生活を積み重ねる上で傷つくことが原因となります。加齢(老化)、過労、ストレス、化学物質、紫外線、ウイルス、タバコなどが遺伝子を異常にする悪者とし
て知られています。

では、一度傷ついた遺伝子は異常になったままで変化しないのか?というと、そうでもないようです。

後天的に悪くなった遺伝子・・・ということは、また別の後天的な要因で変化(良くなる)可能性があるのです。

以下は、2008年6月26日にNikkei Netいきいき健康に掲載された『生活習慣の改善が癌(がん)遺伝子を変える』というタイトルの記事からの抜粋です。
(原文は2008年6月17日/HealthDay News)

「過去の疫学的研究から、植物性の低脂肪食を多く摂る地域では前立腺癌の発症率が有意に低いことがわかっていた。Ornish氏らはまず、食事と生活習慣を変えることによって、早期前立腺癌患者のPSA(前立腺特異抗原)が減少するかどうかを検討した。2005年9月、同氏らは生活習慣の改善により早期前立腺癌の男性のPSA値が4%低下したのに対して、対照群では6%増大したと報告した。

今回の研究は、この変化の背景にあるメカニズムを解明しようとデザインされたもの。被験者は早期前立腺癌と診断された男性30人で、大部分が白人であり(84%)、平均年齢は62.3歳、平均PSA値は4.8ng(ナノグラム)/ml(一般に、4.0ng/ml以下が正常とされる)、グリソン(Gleason)スコア(癌の重症度を示す別の指標)は平均6であった。いずれの被験者も外科手術、ホルモン療法ないし放射線療法を拒否しており、腫瘍は定期的に監視されていた。

生活改善はまず3日間の宿泊治療を行い、その後、毎週の電話相談および週1時間のグループサポート集会を実施。被験者には脂肪由来のカロリーを10%含む植物性食品主体の食事を摂るよう指導したほか、1日30分、週6日のウォーキング、1日60分のストレス管理を実施するよう指示。さらに、大豆製品、魚油3g、ビタミンE100単位、セレン200mg、ビタミンC 2gを毎日摂取させた。

3カ月後に採取した検体の遺伝子発現をベースライン(研究開始時)検体と比較した結果、500を超える遺伝子に好ましい変化がみられることが判明。「年齢が若く、疾患が軽度であるほど大きな改善がみられるようだが、遵守(adherence)状況による影響に比べれば年齢や重症度の影響は小さかった」とOrnish氏はいう。この知見から、健康のために生活習慣を改めるのに遅すぎることはないことが示されたといえる」

一部の専門家は、遺伝子の変化がガンのリスクの直結するかどうかは今後の検討課題であるとコメントしていますが、研究を率いた米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)予防医学研究所長のDean Ornish博士は「人はよく『遺伝子がすべて。自分にできることは何もない』などと言うが、実際にはできることがたくさんある」と述べています。

筑波大学名誉教授で遺伝子研究の第一人者 村上和雄さんは、人の遺伝子は97%眠っていて、スイッチのようにONにもOFFにもなると唱えています。村上和雄先生の著書「生命のバカ力」「アホは神の望み」は、ぜひご一読ください。その中で、フランスのパスツール研究所で行われた実験が紹介されています。


「大腸菌を培養するさい、エサとしてブドウ糖を与えますが、たまに乳糖を一緒に与えても、ブドウ糖ばかりを選んで食べて、乳糖には見向きもしません。そこで、ブドウ糖をやめて、乳糖だけ与えるという実験をしてみたのです。

大腸菌はしばらく食事をやめていたけれど、やがて、乳糖を食べるようになり、それからは乳糖をだけで増殖していくことができるようになりました。

そこでパスツール研究所の研究者が疑問に思ったのは、大腸菌の乳糖を消化する能力は、乳糖を与えるようになってからできたものかどうかということでしたが、いろいろ調べた結果、それは以前からもっていた能力であることがわかったのです。

そういう能力を持っていたけれど、ブドウ糖を食べて増殖していたときは、その遺伝子がOFFの状態になっていたのです。ところが、ブドウ糖を与えてもらえなくなって、一種の飢餓状態におちいったとき、大腸菌の眠っていた遺伝子のスイッチがONになって、乳糖を消化する能力が発現したと考えれば、説明がつくでしょう」

がんという病気に関係する遺伝子・・・がん遺伝子・がん抑制遺伝子も、それぞれがOFF・ONになっていれば発病しません。がんになってしまっても、遺伝子を修復したり、がんを抑制したり、免疫を高める遺伝子がONになれば、治癒の可能性が高まります

遺伝子を変化させる要因としては、心の持ち方、食生活(栄養素)、ストレス(ストレスは悪作用ばかりではありません)、環境などを上げています。

つまり日常のシンプルなことで、人は変化できるのです! 生活習慣を変えることで、がん体質改善や再発予防に成功した人には、きっと遺伝子の変化が起こっているのでしょうね!(ただし、がんが進行しているときは悠長なことを言ってられないので、病状の局面で必要な治療を受けなければなりません)